サポータメッセージ:大家友和さん

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自らの夢の達成のために日本を飛び出し、現在も国際的に活躍を続ける大家さん。
自らの夢の達成に邁進するだけでなく、将来を担う子どもたちに夢を抱くことの素晴らしさを伝える伝道師としての一面も持っている大家さんに、「子ども」、「スポーツ」、「国際交流」をキーワードとして2015年1月に設立された一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会へ、貴重なメッセージをいただきました。
スポーツの楽しさを伝えたい
向山昌利:2015年1月に一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会を設立しました。この協会は、スポーツを通じた国際交流を推進していくことを目的としています。 今日は、元メジャーリーガーであり、その意味で、野球を通じた国際交流を経験されといえる大家さんにお話をおうかがいしたいと思います。大家さんは、子どもたちをアメリカに招待されるなど社会貢献活動を実施されていますので、「子ども」、「スポーツ」、「国際交流」をキーワードにお話をお聞かせください。まず最初に、大家さんが進められているスポーツを通じた社会貢献活動の内容について教えていただけますか。

大家友和さんプロ野球選手
NPO法人Field of Dreams 発起人
大家 友和さん
大家友和さん:主な事業は、野球チームの運営です。NPO法人フィールドオブドリームスという団体で、中学生チームと社会人チームの2つを運営しています。ぼくがアメリカでプレーしていた頃は、日本の施設の子どもたちをアメリカに招待する事業も実施していました。

向山:それでは、NPO法人を設立されたきっかけを教えてください。

大家さん:きっかけとしては、色々とあるんですけど。その中の一つとして、子どもたちが大きい声で指導される姿を目にすることが多かったんです。そして、そのような指導が特別ではなく普通になっていることにちょっと違和感を覚えたんです。それで、自分でチームを作ろうと思いました。もちろん、距離があるところではどうしても大きい声はでますけど(笑)。でも、大きい声を出すにしても、その内容には気を使います。罵倒するようなことは絶対にしません。

向山:ぼく自身もラグビーをずっとやってきて、楽しさを一番に指導することが重要だと思っています。タックルとかラグビーの体を当てる部分にだけに極端に注目する指導を目にするとつらい気持ちになります。そういった意味で、大家さんの思いに共感するんですが、実際にやられてみてどうですか。子どもたちの反応はどうでしたか?

大家さん:練習中に怒られることが当たり前の選手であると、どうしてもまず、こちらとも距離をおくというか。距離を置くことが悪いわけではないですけれども、やっぱり本心で話をしてくれないのが、ぼくらとしては一番辛いです。そういった中で、どうやって彼らのモチベーションを上げていくのか、どうやって野球を好きになってもらうのか、どうしたらずっと野球を好きでいてくれるのか、そして、本当の厳しさをどうやって理解してもらうのか、そういうところを試行錯誤しながら活動しています。
大家友和さん 中学生のチームを設立してもう10年経ちました。今では、うちのクラブを卒業して、練習を手伝ってくれる元選手もでてきてくれています。このことは、ぼくらがやっていることの成果かなと感じています。ずっと野球を好きでいて続けてくれていたというのは、ぼくらがやったことだけの影響ではないんでしょうけども、まぁ嬉しいことですよね。

向山:OBやOGが戻ってくることは、組織を継続して運営していく中でとても重要だと思います。OBやOGが戻ってきてくれるのは、彼ら彼女らが本当に良い経験をしたから、後輩達にもそういう経験をして欲しいという思いの表れだと思っています。ぼくたちの社団も国際交流に参加した子どもたちが、数年後サポートする側として戻ってくれたらいいなと思います。

大家さん:野球の競技レベルにかかわらず、彼らが野球を好きでいてくれたことがすべてかなと。本当にどういうことがきっかけになるかわかりませんね。
夢を抱くことの大切さ
向山:次に、日本の子どもたちをアメリカに招待される事業のお話を聞かせてください。夢を持つことの大切さとかをお伝えになったと聞いていますが。 大家友和ドリームツアー 大家さん:子どもたちを招待して、みなさんに作文を書いてもらいました。自分の夢を達成するために、どんなことをしなければいけないのか考えてもらいました。また、他の人がどんな夢を持っていて、その夢を達成するためにどんなことをしているのか考えてももらいました。自分の夢について少しでも考えたり、他の人の話も聞いて自分の夢をかなえるきっかけにして欲しいと思って招待しました。彼らがどんな職業についてくれても、どんな夢をもってくれてもいいんですけど、色々なことをたくさん経験して、いつの日か子どもたちに彼らの話をしてくれるようになったらいいなと思っています。

向山:アメリカに行った子どもたちの様子はどうでしたか?

大家友和さん 大家さん:環境の違いにビックリしてましたよね。ぼくもそうだったんですけど、言葉がまず全く聞き取れなかったり、通じなかったりすると、自分はいかに何もできないかってことを多分痛感すると思うんですよね。こういう驚きは、学校に行ってるだけでは感じることができないと思うんです。
あとは言葉が通じなくても優しく接してくれる人がいるということに気づく。そういう優しさに触れたりする中で、彼らも徐々に積極的になっていくんです。面白いですね。そう面白いんです。彼らは、ぼくなんかより随分そういうものを敏感に感じているんだと思います。

向山:地元の人たちとの交流というか、ふれあいというのはその中でいくつかあるんですか?試合を見るのというのは?

大家さん:現地の同じくらいの年ぐらいの子と交流したり、ソフトボール大会をやったり、施設に訪問してみたりとか色々なことを経験してもらっています。野球観戦の時は、もちろんスタンドに人がいます。もちろんフィールドにも出るので、他の選手と交流してもらいます。

向山:フィールドにも?いいですね。中からスタジアムをみるんですね。

大家さん:そうですね。そうことを彼らに経験してもらいます。
野球を通じた異文化体験
大家友和さん 向山:大家さんは、アメリカに行かれて色々な経験をされたと思うんです。そういった中で、野球をしていて良かったこと、野球をしていたからこんな友達が出来たとか、実際こんな交流ができたという部分があれば、ちょっと教えて下さい。

大家さん:多分スポーツをきっかけとして世界に出た方はみんな思うでしょうけど、そのスポーツがなければ言葉の違う人達と交流することができなかったと思います。スペイン語圏の人もいるし、英語の人もいるし。アメリカで生活するので、みんな英語を話す訳ですけど、母国語が全然違う人がいっぱいいいて。野球をしていなければあり得なかったことだなあと思います。


向山:行かれた当時、困ったこととか大変なこととかあったのですか?

大家さん:まあそういうこともありましたが、全て想定の範囲内でした。困るというか、こんなもんだろうと思っていましたら。ただこのところすごい色んなものが便利になりましたよね。今の状況が、ぼくがアメリカにいって1年目だったら随分楽だったろうなと思いますね。スマホを持っていれば、何かあったら英語でしゃべってくれたりする訳でしょ?そんなのなかったですからね。

向山:野球をきっかけにアメリカに行かれて良かったなと思うところはありますか?

大家さん:違う文化に触れたことですかね。色々視野が広がるきようなきっかけがありました。色んな国の人たちと付き合ったり、色んな文化にふれあうことで視野が広がりました。

向山:びっくりされたことは、ありますか?こんな国の人はそんなことするのかとか。カルチャーショックというか。

大家さん:(悩む)どうなのかな~。沢山ありすぎて。何かあったかな。いっぱいありますね。ラテン系の人はあんなに夜もうるさくできるんもんだなとかね。

向山:そうなんですか(笑)?

大家さん:なかなかできない。ぼくらが受けてきた教育の中ではああいうことはなかなかできない。うるさくしちゃだめだ、人に迷惑かかるからって言う話です。
(彼らが大きな音量で音楽を聴いている時に)「うるさいって」ぼくが言うと、「なんでうるさいのはだめなのか?」って話になるんです。それでぼくが「お前、そんな音楽おれ聞きたくない」って言うと、彼らは「じゃあ、お前ヘッドホンしろ」って。こんなことはしょっちゅうあるんです。彼らの普通とぼくらの普通がぶつかるんです。

向山:とても貴重な経験ですね(笑)。
スポーツを契機とする国際交流への思い
向山:ところで、大家さんはスポーツを通じて社会貢献をされています。でもなぜ、野球を通じた社会貢献ではなく、スポーツを通じた社会貢献なのですか?何で野球ではなくスポーツなのですか?

大家友和さん 大家さん:人それぞれ得意なもとと得意じゃないものがありますしね。一つの競技にしばる必要もないと思います。ぼくは、サッカーやバスケットのチームを応援するのも全然嫌いではないです。ただぼくは、自分がやってきた野球という競技があるのでね。他のスポーツに人が流れるのが嫌だとか、そんなこと一度も思ったことないです。色んな可能性を考えていけば、何も野球だけにこだわりを持つ必要はないと思います。

向山:そうですね。大家さんの考えに共感します。ぼくはラグビーが大好きですけど、ラグビーが一番だとは思っていません。競技それぞれに、その競技にしかない価値があると思っているんです。野球も、サッカーも、ラグビーもいいですよね。
それでは、最後に一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会が実施している子どもたちのラグビーを通じた国際交流活動に対してお言葉をいただければと思います。

大家さん:ぼくは、ラグビーは怖くてプレー出来ないです。人とぶつかっていくことって、多分とても怖いことだと思います。でも、怖がらずどんどん人に対してぶつかっていってほしいなあと思っています。それは、人にぶつかって初めててわかることがあるだろうし。ぶつかってみないと分からないことがあるだろうし。怖がらずどんどん突っ込んでいって欲しいなあと思います。

向山:小学生の頃にスポーツを通して交流する、異文化経験を積むということに対してはどう思われますか?

大家さん:どんどん交流していってもらいたいです。子どもだけでなくて、プレーしている様子を見ている大人もいい経験になるだろうし、勉強にもなるでしょう。子どもたちも、それを支えている大人も、みんなが楽しんでもらいたいです。子どもたちの成長を間近に見ながら、子どもたちと一緒に笑いながら頑張って欲しいと思っています。

向山:ありがとうございました。いつの日か大家さんのNPOとぼくたちの社団と一緒にスポーツの価値を発信する機会を持てたらと思っています。
大家 友和(おおか ともかず) 1976年3月18日生まれ 京都市右京区出身

日本球界に5年間在籍し通算1勝。そんな名も無き選手がメジャーリーガーになる事を夢見て球団に直訴し単身渡米。日本球界での実績もなく「無謀な挑戦」と当時は誰からも相手にされなかった。しかし言葉もわからず通訳もいない中、幾多の逆境を乗り越え渡米1年目でメジャーリーグへ昇格。以降先発ローテーションの軸となり勝ち星を重ね、2002、2003、2005年とメジャーで3度の二桁勝利を記録している。また2000年には3Aで77球での完全試合も達成している。現在、メジャーでの通算勝利数は日本人では野茂、黒田、松坂に次ぐ4位の勝星(51勝)を挙げている。また「野球以外でも自分を高めたい」と2003年から立命館大学へ入学。シーズンオフにはトレーニングを行いつつ大学へ通っている。その他、社会貢献活動にも積極的に取り組み、「夢を追うことの大切さ」を子ども達に伝える「大家友和ドリームツアー」や、子ども達に「楽しくプレーすることの大切さ」を伝えるため、正しい指導をすることを指導者に徹底し創設した「草津リトルシニア」(中学生の硬式野球クラブチーム)、社会人企業チームの衰退によりプレーする場を失った若者に対して「チャンスの場を提供したい」との思いから滋賀県高島市に立ち上げた「大家友和ベースボールクラブ」(OBC高島)等を設立し、自らも運営にも携わる。モットーは「志を高く」